4章 本格始動!

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「ん……」
 オレは、ベッドに寝かされていた。ここはどこなんだろう。オレが体を起こそうとすると、少し体に痛みが走る。でも、そんなことなど気にもせず、オレは体を起こし、この場所がどこなのか確認すべく、辺りを見渡す。とりあえず、どこかの家の部屋だということは分かる。でも、ほとんどなにもない部屋だ。あるものといえば、壁かけ時計と、小さな窓くらいなものだ。そして、隣にはベッドがあり、そこには、湖矢が寝かされていた。
 湖矢を見たオレは、だんだんと、さっきまでのことを思い出してきた。 「あ……オレ、湖矢と……」
「お、起きたな、拓斗」
 そんなとき、オレの寝ていたベッドの左側にあるドアが開き、フォルテがそう言いながら顔を出した。
「あ、フォルテ。フォルテが助けてくれたの……? ありがとう」
「いや、助けたのはオレじゃない。たぶん知ってると思うが、雨宮ランってやつだ。このオレん家のマンションが一番あの公園から近いからな。ちなみに隣はピアとカノンの家だ」
 フォルテは、ここに至るまでの経緯を話してくれた。
 あのものすごい光……爆発らしいけど、それが起こる直前に、リンさんと言い争いをしていたランさんが、その爆発の危険さに気づき、魔法を使ってし、オレと湖矢をその場から 離脱させた。そしてそのあと、爆発を食い止めるための魔法を使い、被害を最小限におさめたという。信じられない話だけど、あのオレ達が起こした爆発は、大きいビルなんかを、軽くフッ飛ばすほどの威力を秘めたものだったらしく、それを聞いたオレは、ただただ驚いてしまった。と、同時に、それを食いとめたランさんを尊敬もした。
 そしてその後、気絶したオレ達を、ランさんがフォルテに渡し、フォルテがこのマンションまで運んだ、ということらしい。
 じゃあ、なんで離脱したはずなのに、気絶したり、痛みを感じたのかと思ったけど、それはオレ達ではまだコントロールできないほどの魔力を使ってしまったため、それによってそうなった、ということらしい。
「そうだったんだ……ありがとう」
「あぁ。まぁ、それはランに言っとけ。それより……なぁ拓斗、単刀直入に聞くぞ?」
 フォルテはそう言うと、急に顔つきを変えて、続ける。
「どうして、ああなっちまったんだ?」
「え……どうしてって言われても……」
 真剣な表情のフォルテに、オレ一瞬はどう答えるか困ったけど、とりあえず、あの爆発に至るまでのあらましを、思いつくままにフォルテに話した。
「なるほど……。つまりあの魔法を使ったのは初めてで、偶然成功しちまった、ってわけだな?」
「……うん」
 フォルテはそう言うと、今度は考え深げな表情になった。でも、すぐに、
「しっかし、ティーファのやつも厄介な魔法を教えやがって。それを成功させちまうお前らもお前らだがな。まあなんにせよ、お前ら二人が無事でなによりだ」
 と、いつもの軽い表情に戻り、そう言ってくれた。
 オレは、そんなフォルテを見て、
「ありがとう……!」
 と笑顔で言った。
 と、その時、オレの隣のベッド、湖矢が寝ているベッドの布団が、もぞもぞと動き出した。どうやら湖矢が目を覚ましたらしい。
「こ、ここはどこだー?」
 湖矢もさっきまでのオレみたいに、寝起きのせいか頭がぼんやりしているみたいで、部屋をぐるぐる見渡していたけど、
「おお、目ぇ覚ましたか。えっと……裕務……だっけか」
 フォルテのその言葉を聞き、そのフォルテを目にしたとたん、
「え? あ、ああ! と、特級魔人の安晴フォルテ様?!」
 と、目を丸くして驚きの声をあげた。
「まーいちおうそうなってるんだけどな。まぁ、なんだ。様ってのはやめてくれ、ガラじゃないからよー」
「え、あ、はぁ……」
 フォルテは、頭をポリポリ書いて、苦笑しながらそう言った。オレは、オレががフォルテと初めて会った時と、同じような反応をした湖矢を見て、なんだかおかしく思い、思わずクスっと笑ってしまった。
「まあそれはいいとして、あんま目立ちすぎる魔法使うなよ。魔法を知らねー奴に見られたら何かと厄介だからな」
 と、また頭をポリポリかきながらそう言った。
 でも、オレはその言葉を聞くと、思わず首をかしげてしまう。なぜならオレは、リンさんやレイさんに、魔法を知らない者にそれを知られたとしても、さほど問題ではないと言われているからだ。湖矢もどうやらそう言われていたらしく、首をかしげている。
 フォルテは、そんなオレ達の反応を見て、
「ああっと、しまった、そうだったな。レイとかティーファとかって、そりゃあそっち派だよな。特級魔人はそういうの意識するなって言われてるから忘れてたぜ……」
 と、思い出すように、少しモゴモゴとそう言った。
 でもオレは、そんなフォルテの言動にますます首をかしげてしまう。
「……! ……ああ、もう、めんどいな、説明するの。詳しいことはまた今度な。ああ、それがいい。よし、帰れー、親が心配してるぞー」
 だけどフォルテはそう言うと、オレ達に手をる。
 オレ達は、そんなことで納得いくはずもなく、
「フォ、フォルテ〜、そんな中途半端な〜。そっち派ってなんだよ!」
「それにオレ、今ティーファんとこに住んでるから、親が心配するとかないですよ、フォルテさん」
 と、オレ達は不満をぶちまける。
「あー、親の説明もせにゃならんのか、ますますめんどうだ。もう、リンにレイにでもティーファにでも誰でもいいから聞け! オレは めんどいからよ」
 でもフォルテは、そんなオレ達などかまいもせず、頑なにオレ達を帰らせようとする。
 オレは、そんな妙な態度をるフォルテを見て違和感を感じたけど、そのフォルテの言葉に従うしかなかった。 


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