3、四大星河器



「じゃあたのむよ、スーペリア」

 インフェリアとスーペリアが帰ってきたのでツー・ウェイのことを聞く優達。
 スーペリアはとりあえず、さきほどのわびと自分達のことについて話し始めた。

「さきほどはすいません。インフェリアがどうしてもやるというので……」

「それはいいんだけどさ、なんでオレらを襲ったんだ?」

「それはですね、たしか大地さんには”ツー・ウェイをたおしてもツー・ウェイはもとにもどらないことがわかった” といいましたよね? ……すいません。それは嘘なんです。実は本当にそうなのかもしれないのです」

「マジかよ?!」

 アフレイドとフィアは、少し前にスーペリアのところを訪れたとき、ツー・ウェイを元に戻すには、ツー・ウェイを倒せばいい、 といわれたので、二人はスピアとランスを倒そうと二人の前に現れた。
 しかしその後、スーペリアから大地のもとに連絡が入り、どうやらそれは間違いだったということが判明していた。
 だが、今回のスーペリアの話を聞くと、それは嘘で、本当に元に戻るかもしれないということだった。
 なぜそんな嘘をついたかと聞くと、スピア達ツー・ウェイがここ、みやびの住むマンションに訪れたときに不意打ちをして 倒してしまおうと言うことになったからだと言う。
 そしてそれを言い出したのはインフェリアということらしい。

「事情はわかった。オレらは気にしてねーよバーカ」

「私も同じ意見です」

 スーペリアの話を一通り聞き終えると、アフレイドとフィアはそういって、スーペリアの肩を軽くポンとたたいた。 スピアとランス、優も大地も同じ意見らしく、特に怒り出す様子もない。

「ありがとうございます……!」

 スーペリアはわざわざ立って、ふかぶかと優達に頭をさげた。

「スーペリアくん、もうその話はいいから、ツー・ウェイのことをあたし達に聞かせとくれよ」

「あぁ、そうですね」

 スーペリアは頭をあげ、ソファに腰を下ろして話し始めた。

「前に大地さん達に話したことは、もういいですよね。あれからわかったことがあるのでそれを話します」

 スーペリアの話を要約するとこうだ。
 まずツー・ウェイというのは略称で、正確には”ツー・ウェイ・コミュニケーション”と呼ばれているらしい。  その意味は、相互に働きかけるというような意味ということだ。いつからそう呼ばれていたかはわからないが、 とにかくそうなったらしい。
 次に謎の光のこと。
 これに関してはスーペリアにも分からないということだ。
 そして、

「これは結構重大なことです。さきほどの光のことについては詳しくはわからないのですが、それができた 原因はわかっているのです」

「原…因…?」

「はい。実は歴史的にはふせられている戦争のようなものが原因なのです」  

u

 今から300年ほど前。
 そのころから地球上では宇宙人がたくさん存在していた。
 といってもスピア達をみてもわかるように、容姿が普通の人間とかわらないために、たとえ存在していても気づかれることはなかった。
 そのころは、当然のように地球人の間では権力争いがたえまなく行われていた。それと同じように、宇宙人同士 の争いも行われていた。
 そしてそのころ、宇宙人対宇宙人最後の戦いともよべる戦いがあったのだ。
 その戦いは始め、”天性軍”と”地性軍”と呼ばれていた二つの軍によっての戦いだった。
 戦いは中盤まで、圧倒的に天性軍が優勢だった。
 しかし、戦いが終盤にさしかかったとき、天性軍の中で裏切りがおこってしまった。
 天性軍の中には、二つのグループがあった。ひとつは女の頭領がおさめているグループ。もうひとつは男がおさめているグループ。 その男がおさめているグループが裏切りをはかったのだ。そして、男のグループは地性軍に入ってしまったのだ。
 その後有利だった天性軍は一気に窮地にたたされてしまう。
 だが、天性軍の女頭領はめっぽう頭のキレる人物で、地性軍との戦いも何度か乗りきることができた。
 しかし、絶体絶命のピンチが訪れてしまった。
 天性軍の兵力は残りわずか、地性軍の兵力は今の天性軍ではとても太刀打ちできないほどの数である。 天性軍の兵はもう死を覚悟していた。
 しかし、天性軍の女頭領はあきらめなかった。自分の頭と実力を信じ、女は地性軍につっこんでいった。ほかの兵も 女を信じて、同時につっこんでいった。
 だれが見てもあきらかな戦い……のはずだった。
 なんと天性軍の女は、迫りくる地性軍を己が持つ力でなぎ倒し、ついには地性軍の兵をほとんど倒してしまい、地性軍の 頭領のところまでたどりついてしまった。その頭領は、いつか天性軍の裏切った男だった。
 そして二人の戦いは始まった。
 二人の戦いはまったくもって互角。互いに一歩もゆずらないまま、気づけば二人とも気力だけで立っていた。
 そして、二人は残る自分の力を全て次の一撃にかけ、放った。
 次の瞬間ものすごい光がその場から放たれた。

 戦いの結果は、結局どうなったのかはわからない。
 だが、その光が、現在地球を囲み、そこにきた宇宙人をツー・ウェイにかえてしまうことは間違いないのだ。

u

「ん〜、なんだかよくわからないなぁ」

 スーペリアの話が終わると、大地が異を唱えた。

「なんでその光が一人を二人にするんだ?」

 大地の質問はもっともだった。たしかに筋が通っていない部分がある。

「それはわかりません……。ただ、その天性軍の女と地性軍の男は双子だったそうです」

「へぇ、なんだかわるようなわからんうような。まぁなんにせよ、考えたってしょうがないんじゃないかい?」

「へっ、さすが女男だなバーカ」

「なんかいったかな?アフレイド君」

 優はそんなアフレイドのつぶやきを聞き逃していなかった。おもわずたじろいでしまうアフレイド。

「アホなツー・ウェイとマスターどもだな」

 と、その時、ふいに背後から声がした。そこにいたのはインフェリアだった。

「劣ってるスーペリアは貴様らに謝ったらしいがオレはそんな気さらさらねーぜ。ツー・ウェイをとっとと戻したい。 その気持ちはお前らだった同じはずだろ?」

「イ・ン・フェ・リ・ア!!」

 毒づくインフェリアを、追って現れたみやびが注意した。

「まったくあなたはっ! それよりインフェリア、あなた大地さん達のツー・ウェイに聞きたいことがあるんだよね?」

「……。お前らがさっきもってた武器、見せてみろ」

 ムッとするスピアやアフレイドだが、ここはとりあえず自分達の武器である、槍双とBCを目の前の机の上においた。

「こ、これは……」

 その時、スーペリアが驚きの声をあげた。ハテナ、となってしまう優と大地、そしてみやび。

「これは槍双にバビロンクライ……四大星河器……!」

 スーペリアの口から出た言葉、”バビロンクライ”そして”四大星河器”。その単語にますますハテナとなる優、大地、みやび。 その疑問はアフレイドとスピアが答えてくれた。

「バビロンクライ、ってのはオレとフィアがもってるBCのこった。っていうか知らなかったのかよ、バーカ」

「四大星河器っつーのは、オレとランスのもつ、”瞬美の槍槍双(しゅうびのやりそうそう)”、アフレイドとフィアのもつ ”真恐の珠バビロンクライ(しんきょうのたまばびろんくらい)”、そしてだれがもってるかしらねーけど ”光闇の銃ノクロ(こうおんのじゅうのくろ)”、これもだれがもってるかしらねーけど ”破滅の剣ラグナレク(はめつのけんらぐなれく)”この四つの総称だよ」

 あまりにサラっとでたスピアの言葉に、思わず優は、

「ちょ……、じゃあその”よんだいせーがき”ってのはこの場に二つも?」

「いえ、三つですよ」

 驚いてそう言った優は、スーペリアから出たその言葉にまたもや驚いてしまう。

「えぇ?! それって……」

「オレの持ってる”白き銃ワイト”んでスーペリアの持ってる”黒き銃ラック”。  オレらがジェネラルっつーもともとの一人の人間だったときはその二つがあわさってノクロになってたんだよ」

 そう言ってインフェリアは自分の持つ銃を乱暴に槍双が置いてある机の上に投げた。スーペリアも自分の持つ銃 を机の上においた。

「なんだかよくわからないけど、とにかくすごいものが三つもここにあるってことだよねー!」

「そうだよねぇ、みやびちゃん!!」

 みやびがそう言うと、すかさず大地もそれに合わせた。優達はそんな大地をすでに無視している。そして、

「にしてもさ、スピア、ランス。アンタらBCのこと知ってたんだろ? じゃあなんであのときあっさり栗達にやられちまったのさ?」

 と、さきほど思った疑問を口にした。 「いや、名前は知ってたけどどんな力があるかまでは……」

 優の疑問に答えようとしたランスだが、それはかなわなかった。なぜかというと、

「だから栗じゃねーっつの、女男」

 と横にいたアフレイドが口にしており、優がそれを聞き逃していなかったからだ。

 バギャッ

「ぐぁ?!」 「きゃ」

 アフレイドに優の鉄拳が飛んだ。当然ツー・ウェイなのでフィアにも被害が及んでしまう。

「ああ! ゴメンフィアちゃん!!」

「オレには謝んねーのかよバーカ」

「アンタは黙っとけ!」

 ドフッ

「うぁ?!」 「きゃ」

「あぁ?! ホントにゴメンフィアちゃん!!」

 優とアフレイドのせいで、ゴタゴタになってしまったこの場。
 みやびはなんとか収めようとおもい、

「あ、あの! とにかく落ち着いて! 明日も休みなんだし、ゴタゴタした話は明日でもいいから、ね? だから今日はうちに 泊まっていってよ」

「え? いいの?! みやびちゃん!!」

「うん、いいよ」

「やった〜〜!!」

 ガンッ

「いってぇぇ……」

「ウルサイんだよ、大地っ!!」

 騒ぐ大地に、優の鉄拳がかまされてしまう。
 あわれ、大地はその場でバタンキューとなってしまった。


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