2、大地、沸騰中!



「いくぞ、ランス!」

「おう」

「BCいくぞ、フィア」

「了解」

 そう言って、スピアとランスはインフェリアのほうに、アフレイドとフィアはスーペリアと対峙した。
 2:1と有利なのだが、なにぶん相手の武器は飛び道具だ。それよりなにより、自分達はツー・ウェイ故に、 どちらもやられることがゆるされないのだ。
 この狭い部屋の中で、どうやったら効率よく戦えるだろうか。そう考えるスピア達四人。
 そして、こんなとこで戦ったらこの高そうなものとか壊れて大変だろうな、と場違いなことを 考えている優。

「こいよ」

 インフェリアのその言葉がスイッチとなったのか、スピアは向かって左に、ランスは向かって右に向かった。 はさみうちのようなかたちにするらしい。
 一方アフレイドとフィアは、BCの力を今使わんとしていた。
 その時だった。

「こらぁ! インフェリアにスーペリア!!」

 ふいに優のうしろのドアのあたりから声が聞こえた。そして勢いよくドアが開いたかと思うと、 黒いショートカットの少女が飛び出してきた。

「み、みやび……」

 その少女の登場にインフェリアとスーペリアはかまえていた銃をおろし、少しあとずさりをし始めた。

「あなたたち、また家の中で暴れようとしたわよね? この前も家の中で暴れられて、物は壊れるは 掃除は大変だはでもう、ホントに!!」

「ご、ごめんなさい……」「ご、ごめんなさい……」

 インフェリアとスーペリアは大柄な体を小さくしてその少女に頭をさげた。
 そんな光景を見て、状況がよく読めない優達。
 とりあえず、戦闘態勢を解除した。

u

「コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

 台所から、ソファに腰掛けている優達に向かってさきほどの少女の声がした。

「あ、おかまいなく」

 優は、とりあえずはそう言おうとした。が、その横に座っている大地達5人は、

「オレコーヒーで」

「オレも!」 「オレも!」

「紅茶」

「コーラはねーのかよ? バーカ」

 と、口々に言ってしまう。
 コイツら礼儀を知らんのか、と優は思ったが、さきほど戦いは不発に終わったものの、やはり緊張したせいか のどがカラカラだった。故に優も、ここは少女の言葉に甘えて、

「あたしは紅茶で」

 と言った。
 ほどなくして少女がそれぞれ頼んだものを運んできた。ちゃんとコーラもあった。

「どうぞ」

 と、その少女はいおうとしたが、飲み物をもってきたおぼんをテーブルに置く前に、アフレイドが コーラを勢いよくとってしまったので、少し驚いてそれを言うことができなかった。

「ング、ング……、プハー」

 ガンッ

「い、痛ってぇ?!」 「きゃ」

「プハー、じゃないよまったく! アンタらホントに礼儀をしらないんだから……」

 そんなアフレイドを見かねた優は、つい手がでてしまった。しかし、アフレイドはツー・ウェイである。故に、

「おい、優。フィアに謝っとけよ」

 大地に言われて優ははたと気づいた。

「あぁ! ゴメンフィアちゃん。あたしはただこの栗を殴ろうとしただけなんだよ…ホントにゴメンね」

 アフレイドだけを殴ったつもりが、フィアにも危害が及んでしまうのであった。

「あぁ、やっぱりあなた達ツー・ウェイなんだ!」

 そんな優達をみていた少女は、ふいに大きな声でそう言った。

「え?」

 その言葉に、優達はその少女の方を向く。

「自己紹介が遅れました! あたしの名前は林雅、よろしくね。”みやび”っていう漢字はいちおうあるんだけど、 たまに男のコとまちがえられちゃうから、もし名前書く機会があったら絶対ひらがなで書いてね」

「あ、よろしく! お、オレ大地ってんだ」

 みやびの話が終わるやいなや、大地がそう言った。
 このみやびという少女。年はおそらく高校生くらいだろうが、優に負けず劣らずの美貌をかねそろえている。 大地はおもわずそれにひかれてしまったのであろう。
 ちなみに、本人の希望により漢字の雅をつかわずにひらがなで明記することにする。

 「あたしは優。19歳。よろしく」

 そんな大地をヤレヤレと見ながら、続いて挨拶をする。

「大地くんに優さんね。よろしく〜。あ、ちなみにあたしは17歳だからね」

 二人の挨拶に、みやびは笑顔で答える。
 そんなみやびを見て、大地はまたクラッときてしまった。

「大地。バカだろ」

 よこでアフレイドとフィアがそんなことを言っていた。
 挨拶も一通りおわったところで、ツー・ウェイのことについて話し合うことになった。
 しかし、肝心のインフェリアとスーペリアが、さきほどのひともんちゃくによって、みやびからバツ のようなものもあたえられていて、買い物にいかされているらしい。それ故に、とりあえずなぜみやびと インフェリア達が出会ったか、という話になった。

「えーとね、始めてあたしがあの二人と会ったのは……、3ヶ月そう、3ヶ月くらい前かな」

「へぇ、オレらよりずっとはやいんだね、みやびちゃん」

 大地は誰の目から見てもあきらかに、デレデレとしていた。
 優はもう呆れるのを通りこして、なぜか関心してしまっている。
 その横ではツー・ウェイ四人があにやら集まって話しをしている。

「大地のやつ、あきらかにデレデレしてるな」

 スピアの言葉に、ほかの3人も異議なしといったかんじである。
 ランス、アフレイドも同意しつつ、

「外面だけに惑わされるとヒドイ目にあうのにな」

「どっかの女男がいい例だな」

 ちなみに、その女男というのは……

「聞こえてるよ〜、アフレイド君」

 ほかでもない、優である。

「あー、えーと、すいません……」

 やはり優には頭のあがらないアフレイドなのであった。

「てゆーか、アンタらみやびちゃんの話聞いてたかい?」

「私は、聞いていました」

「ほか3人は」

 スピア、ランス、アフレイドはそろって首を横にふる。
 今考えてみると、この3人が話しを真剣に聞いていたことがあっただろうか。
 いつも話しを聞いていないとすれば、この男もなのだが……

「へぇ!みやびちゃん高校二年生か〜。オレも高校もどりたいなぁ。大学、な〜んかつまんないんだよ」

 デレデレ男、大地である。
 さきほどみやびの話が終わったと思ったら、即座に大地はみやびに話かけ、それからずっと話しているのだ。 優が関心する理由がわからなくもない。

 ガチャ

 「ただいま〜」

 と、そこにインフェリアとスーペリアが帰ってきた。
 よく考えてみれば、宇宙人が普通に外を歩くなんてとんでもないことだ。
 しかし、スピアを始め、ここにいるツー・ウェイは、髪と目の色が少々気になるが、ほかはなんら普通の人とかわらない。

「ったく、みやびは人使いが荒いっての」

「まぁまぁ、インフェリア。マスターにはしっかりしたがわないと……」

「文句あんのかよ、オレより劣ってる癖に。だいたい今こういう状況にあるのももとはのいえばオマエが劣ってるせいで……」

「はいはいはい、そこまでだよ、インフェリア」

 帰ってくるなり、軽いケンカをはじめてしまったインフェリアとスーペリア。
 さきほどのみやびの話に少しでてきたのだが、この二人、もともとは同じ人間から分かれたはずなのに、 妙に仲が悪いらしいのだ。といっても、毎回一方的にインフェリアがスーペリアを攻撃しているだけなのだが。 インフェリアが、いつもなにかとつけて”スーペリアは劣っている”というらしいのだ。

「とにかく落ち着いて、インフェリア。あとスーペリア、ツー・ウェイのことを大地くん達に詳しく教えてあげて。 この前も大地くんには話したらしけど、それよりさらに詳しく……つい最近分かったことを」

「はい、マスター」

「おいおいおいおい!! 聞いたかよ聞いたかよ?! ”大地くん達”だってよ! いつも”優達”っていわれるのに…… なんか感動したぞ〜!!」

 大地のデレデレ暴走ぶりは、いまだとどまることをしらないが、とにかく優達はスーペリアの話を聞くことにするのであった。


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