プロローグ



 ふと、空を見上げてみた。
 空には満天の星空が広がっている。
 と、キラリと流れ星が二つ流れた。
 だれか見ていた人がいるならば、間違いなく

「流れ星だ!」

 などというであろう。

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 ここは地球の大気圏をこえ宇宙だ。
 そこには、奇妙に真っ赤に光る二つの星が動いていた。 さきほどみえていた流れ星だった。
いや、星ではない。
それは宇宙船であった。
 その宇宙船は、アニメやマンガででてくるようなものとは 大きく違い、一言でいいあらわすならば”銀玉”である。
 ただし、今は強烈なジェット噴射により、真っ赤にそまっていた。
 と、ここで妙なことにきづいた。
 その銀玉・・・もとい宇宙船には、ジェットを噴射するような 部位はもちあわせていないのだ。 それどころか、外をみるための窓や、 出入り口なども存在しないのだ。
 つまり、その宇宙船の壁自体からジェットがでているのだ。
そして、さらに奇妙なのはその内部だ。
 内部は、いったいどれほど高度な設備なのか、 と思うと、それは想像をこえていた。 下の部分に直径1メートルほどの灰色の台があり、その上に人が立っている。 そして、それ以外の部分は”宇宙”なのだ。
 実はそれは超極薄かつ超高画質のモニタだった。 ただ、さきほど示したように、外側にカメラのようなものはない。 とにかく謎につつまれているのだ。
 そんな摩訶不思議な宇宙船に乗っているのは、 意外にも少年だった。

「ますたー、えねみーヲコウゲキシマスカ?」

「アホ!あんな化け者倒すなんて無理だ!  ここは逃げるしかない!!」

「リョウカイシマシタ」

 機械音声が響き、それに答えるその少年。 彼の名はジャベル。
 そしてその機械音声は宇宙船に搭載された 超高性能コンピュータとでもいうところか。

 ジ、ジャー、ザズ

「おとなしく”槍双”を渡せ」

「く、ハッキングされたか!」

 さきほどから宇宙を映し出していたモニタの一部に、 唐突に人の顔が現れた。
 といっても、その顔や黒い鎧におおわれており、 その顔をみることは不可だった。
 ジャベルは、さきほどからこの黒い鎧の男―― インペリアに追われていた。
 理由はさきほどインペリアがいった”槍双”だ。 インペリアは、どういうわけかわからないが、 それをねらいジャベルを追っていたのだ。

「おいインペリア!!なんでこれをねらってんのかしらねーけど、渡してたまるかよ!」

「・・・物分かりの悪い小僧め・・・。しょうがない・・・」

 モニタにうつったインペリアの顔が消える。 そして、消えるが先か、ジャベルの後方のモニタにオレンジ色の光が見えた。

「うぉ!打ってきやがった!!コロナ、どこかに人が住める星はないか?!」

「ピー、ピー、ケンサクチュウ・・・ケンサクチュウ・・・」

 コロナとよばれたさきほどの機械音声は、近くを検索し始めた。

「ピー、ケサンクヒット。”チキュウ”トイウホシガチカクニアリマス」

 コロナの音声が聞こえると、ジャベルの右前のモニタに
その”チキュウ”の画像が映し出された。

「・・・いくしかねぇ!」

 とにかく直進していたジャベルの宇宙船は、チキュウのほうに 進行方向をかえた。しかし、それがいけなかった。

ドンッ

「うわぁ!く・・・言語学習システム起動!」

 インペリアが放ちつづけているオレンジ色の閃光のひとつが ジャベルの乗る宇宙船にあたってしまった。
 それでもなんとか持ちこたえ、その星の言語を一瞬で学習するシステム―― 言語学習システムを起動した。 やはりそれは、異星からきたことを物語っていた。

「もう少しだ!なんとかもちこたえ・・・ぐわぁ!」

 またインペリアの放った閃光があたってしまう。 そして、それが合図となるかのように、次々と閃光をくらってしまった。

「くそう!うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ついに宇宙船はコントロールをうしなった。
 そして、ジャベルをのせた宇宙船は大破寸前だ。
 と、その瞬間。

「な、なんだこの光は?!」

 ジャベルをのせた宇宙船は、光につつまれ、やがて、みえなくなった。


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